前回「俗悪のbefore & afterに関する考察」を執筆した訳だが、
さらにその後のThrash Metalの辿った道を深く掘り下げてみようと思う。

 

挙げるまでも無くMETALLICA
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91年のBlack AlbumでThrashを卒業し、Heavy & Gloove Metalバンドへと転身した訳だが、
その後Load(96年)とReload(97年)でHeavy Rockバンドへと更に変化した。

この2枚のアルバムに関して未だ根強い否定派ファンは多い。

この頃ANTHRAXがライブでMETALLICAの初期の曲をカヴァーしたりして
METALLICAの復活を願う行動を公に起こす者も少なくなかった。

そしてSt. Anger(03年)である程度のスピードと激しさを取り戻したのだった。
更にDeath Magnetic(08年)ではSLAYERのプロデューサーである
リック・ルービンの力を借りて80年代の音を取り戻そうとした。

取り戻せたのかどうかの判断は個人にお任せするが
91年から横道に逸れ始めた道を修正したと言う事実が重要だ。
彼らは間違い無くRockからMetalへと戻って来たのだ。

 

次にMEGADETHを検証してみよう。
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Cryptic Writings(97年)までは概ね彼ら特有のThrash Metalだったが
突如Risk(99年)でIndustrial Metalへと変貌してしまった。

初めて聴いた時は全曲ドラムマシーンを使っていると思った。
表情の無い曲ばかりが並んだアルバムはとても退屈で聴き通せないほど。

それを方々で叩かれた為か次作The World Needs A Hero(01年)では
ミドルテンポの曲は多いがMEGADETHらしさを取り戻し、
それ以降は徐々に初期の激しさ・速さも取り戻して行く。

MEGADETHは99年に道を踏み外したが、
比較的短期間でThrash Metal界へと復帰を果たしたのだ。

 

次はANTHRAX
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彼らは前回述べたように
Sound Of White Noise(93年)でGloove Metalへと転身した。

そしてStomp 442(95年)では多少激しさを取り戻すものの
まだThrash Metalとは呼べないHeavy Metalだった。

しかしVolume 8(98年)から徐々に初期の彼ららしさを取り戻しつつある。

The Greater of Two Evils(04年)で初期の代表曲を録り直し
現在では完全にThrash Metalへと復帰を果たしたと言って良いだろう。
ANTHRAXもまた脱線してしまった進路を修復したのだ。

 

さてSLAYERはと言うと
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前回も述べた通りほとんど全くブレていない。
よってここに記述するような事は有難い事に何も無い!(笑)

 

 

続いてEXODUS
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彼らはForce Of Habit(92年)でslow & heavy路線へと
転身した訳だが、94年で一度バンド活動に終止符が打たれる。

それから3年の時を経て97年にライブアルバムAnother Lesson In Violence
で初代VoのPaul Baloffと共に活動を再開させる。

収録曲は当然1stからの曲が中心となり
完全に初期Thrashへと原点回帰!

しかし不運な事にPaulが02年に病死してしまう。

それを乗り越えて2代目VoのSteve “Zetro” Souzaを迎えて
バンドはTempo Of The Damned(04年)を発表する。

これは完全に初期のスタイル。正にThrash Metal!
そのスタイルのまま現在に至っている。
つまりEXODUSも逸れた道から戻って来たのだ。

 

OVERKILLは話が早い。
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I Hear Black(93年)でslow & heavy路線に変更したかと思いきや
翌年に発表したW.F.O.で激烈Thrash Metalへと完全復活を果たしたのだ!

それ以降現在まで全くブレ知らずの王道Thrashを突き進んでいる。
彼らの迷いはほんの一瞬だった。

 

さて、90年代にブレブレだったTESTAMENTは話が長くなる。
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The Ritual(92年)でキャッチーなHeavy Metalへと転身したかと思うと
Low(94年)ではPANTERAっぽさの漂うThrash Metalへと変化し、
Demonic(97年)ではChuck Billyの歌は完全にデス声と化す。

一体何処を目指しているのか誰にも解らない状況であった。

そして99年に発表されたThe Gatheringを聴いて
恐らく多くのスラッシャーが狂気乱舞した事だろう。

そう、あのTESTAMENTが戻って来たのだ!

さらに01年に発表したFirst Strike Still Deadlyでは
初代リードGのAlex Skolnickが復帰して1stと2ndの名曲を録り直す。

一時期Chuckが病気療養の為バンド活動は休止していたが
07年にThe Formation Of Damnationで復活すると
それ以降ブレる事無く現在までThrash Metal一直線だ。

TESTAMENTもまた階段を一度踏み外すが、見事に戻って来たのである。

 

若気の至りことDEATH ANGEL
最も分り易い例かもしれない。
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THE ORGANIZATIONバンド名を変え
93年にThe Organizationを発表する。

それまでの面影さえも無い到底Thrash Metalとは呼べないMetalバンドに転身してしまった。

2ndのSavor The Flavor(95年)は更に酷い。
ジャケットなんて目も当てられない。

そして95年でバンドは消滅。2ndを出した年に、だ。

暫くしてメンバーはDEATH ANGELを再結成。01年の事だ。
そして04年に復活作The Art Of Dyingを発表。
内容はしっかりThrash Metalしており
多くのスラッシャーが彼らの復活を歓迎した。

それ以来彼らもブレずにThrash道を突き進んでいる。
彼らもまた復活組である。

 

最後にLAAZ ROCKIT。彼らも改名組だ。
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GACKと改名しFix(93年)を発表する。

内容は前回述べた通りでもろPANTERA風(笑)。

柳の下のどぜうを狙ったのだろうが全く鳴かず飛ばず。
バンドも人知れず消滅して行った。

ところがどっこい05年にLAAZ ROCKITが復活!

そして08年に復活作Left For Deadを発表する。
タイトルが自虐ネタ(Left For Dead=死んだものと諦める)でうける。

でも彼らは死んでいなかった。
勢いのあるThrash Metalバンドとして復活していた!

そのアルバム以来アルバムは出ていないので現状が
分りかねるのだが、恐らくブレずにやっているものと信じたい。
彼らもまた例外に漏れず復活して来たのだ。

と言う訳でSLAYER以外のバンドは一度道を踏み外しはしたが、
自らのidentityに気付き進むべき道に戻って来たと言えるだろう。

バンドの歴史はまるで人生そのものの様だ。

迷う事もある。間違いも犯す。

でもそうやって自分にとっての正解を探し出すものだ。

復活組に迷いは無い。故に潔い。

 

最後にブレ期と復活後のコントラストをお楽しみ下さい。See U!

▼A Way Today / THE ORGANIZATION (95年)

▼Land Of Blood / DEATH ANGEL (04年)

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