前回のコラム:「1991年以降のThrash Meatlに関する考察」では
アメリカのThrash Metal史を振り返ってみた訳だが、
今回は欧州でも特にThrash Metalが盛んなドイツの歴史を考察してみようと思う。

 

まずは重鎮中の重鎮、SODOMを検証してみよう。

Sodom_1

90年にBetter Off Deadをリリースする。

このアルバムはそれまでに比べるとかなりきっちり作り込まれた印象を受け、
それまでの荒々しいSODOMのイメージを変えた。

例えるとSLAYERからEXODUSに変化した印象だった。

しかし92年にリリースしたTapping The Vainでは
いきなり荒々しさ倍増で時にはDeath Metalかと思う程だ。

更に94年にリリースしたGet What You Deserveでは
荒々しさが更に増し、Grind Core的要素も加わって来る。

91年以降のアメリカでのへヴィー&グルーブの波は
間違い無く全く影響しなかったと言って良いだろう。

 

 

次にKREATORを検証してみよう。

kreator_nh_0709

90年にComa Of Soulsをリリースする。

内容はどストレートなThrash Metalで正にKREATOR!
続いて92年にRenewalをリリースする。
何だかタイトルからして嫌な予感がする。
そしてその予感は見事に的中!
へヴィー&グルーブ感を頑張って出そうとしている姿が痛々しくさえある。

きっと無理してアメリカの流行に迎合してます(笑)。

次作は95年のCause Of Conflicts。
あのKREATORが帰って来た!
彼らしいストレートなThrash Metalの復活だ!

安心したのもつかの間、次作Outcast(97年)では
再びミドルテンポの曲が中心となってしまい、
とてもThrash Metalとは呼べなくなってしまう。

事実各曲の芸術的クオリティーは高く
素晴らしいHeavy Metalアルバムだとは思う。

でもそういう音楽はKREATORには求めていないのだ。

その次のEndorama(99年)は前作同様な内容で
またまたミドルテンポ中心の作品に。

今度は歌メロまで加わり更に聴き易くなった。
皆が「そんなに売れたいのか?」と疑念を抱いた筈だ。

しかし01年にリリースされたViolent Revolutionでは
タイトルから察せられるようにViolentなKREATORが復活!

そう、90年までのあのストレートなThrash Metalだ!

それ以降現在まで多少洗練はされたが
KREATOR流のThrash Metalを突き進んでいる!

OutcastとEndoramaでの変化は恐らくアメリカの影響ではなく
バンドの中心人物であるミレ(G&Vo)の芸術欲の増大ではないだろうか?

Thrash Metalの範疇を超えてもっと広い音楽を取り入れたいと
彼が願った故の変化ではないかと想像する。

そして2枚のアルバムを出して気付く。
KREATORにはThrash Metalが最も似合うと。

 

 

次にDESTRUCTIONを検証してみよう。

Destruction wallpaper (13)

このバンドは91年以前に大きな変化があった。

88年のRelease From Agonyまでは直球Thrash Metalだった彼らが
バンドの中心人物であるシュミーア(B&Vo)を89年に首にする。

そして新たなVoとBを入れて作ったのがCracked Brain(90年)。
内容は以前より少々大人しくなったThrash Metalだった。

個性的な声だったシュミーアが抜けた事で
バンドの個性も同時に失ってしまった感は否めなかった。

ここから暫くバンドは試行錯誤し始める。

8年の時を経て漸くリリースした新作は知る人ぞ知る
The Least Successful Human Cannonball。

このタイトルを知ってるだけでも通だと思います(笑)。

内容はThrash度0%。まるでHelmetのMeantime

Helmetとは92年リリースのMeantimeが大ヒットした
へヴィー&グルーブ系アメリカバンドの代表格。

この時期は正に自分達を見失っていた様だ。

その事に気付いたのか99年にシュミーアを迎え入れ
そしてリリースしたのがAll Hell Breaks Loose(00年)。

初期のDESTRUCTIONが完全復活した!

いや、更にパワーアップして戻って来た!

 

シュミーアはDESTRUCTIONを離れた後も自ら
HEADHUNTERを発起し本家DESTRUCTIONにも優る
Thrash Metalをずっと継続していたのだ。

そしてDESTRUCTIONはそれ以降現在までブレ知らずの
直球Thrashアルバムをコンスタントにリリースしている。

因みにシュミーアは07年にHEADHUNTERも復活させ、
現在では二足の草鞋を履く活躍を見せている。

 

今回はGerman Thrash御三家について検証してみた訳だが
SODOM以外はアメリカのへヴィー&グルーブの影響を
多かれ少なかれ受けたと言って差し支えないだろう。
しかし2バンドとも初期のThrash Metalに舞い戻るという
同じ運命を辿る点が非常に興味深い。

これはアメリカの多くのThrash Metalバンドが
辿った道と全く同じ道である。

欧州であろうと米国であろうと

人は皆過ちを犯し、
その過ちに気付き、
そして修正するのだ。

そう、Thrash Metalこそ正しき道。
彼らにとってのROYAL ROAD!

 

では最後にブレた時期と復活した後の典型例を聴きながら、SEE U!

▼Formless,Faceless,Nameless / DESTRUCTION(98年)

▼Thrash ‘Till Death / DESTRUCTION(01年)

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